2013/07/11

ディープインパクトとコンデュイット その2

前回は、ディープインパクトと下半身の直線的な骨格が特徴的であり、これによって類まれなストライドの大きい走法が実現されている、またコンデュイットもこれに近い骨格をしていると述べました。

ディープインパクトの走法の、バイオメカニクス的な解説はこの資料をご覧ください。また、ディープインパクトとオルフェーヴルの走法を比較した解説もあります。ここでは下半身に形のみに焦点を当てていますが、馬の走りを形成する要素は他にも数多くあります。参考になります。

ディープインパクトのストライド走法は、ほぼ極限までに走る際のエネルギーのロスを抑えた省エネの走法だと言えます。体型によるストライドだけでなく筋力でそれなりに速いピッチの回転も併せもっています。

レースの最後の直線で1頭だけ抜けた脚を使っていましたが、他馬がバテている中で、道中温存したスタミナを使って追い込むことができたのです。その代わり、本当にピッチの速い短距離馬のように、スタートから急加速でグングン加速するようなことはできなかったはずです。

ディープインパクトの代表産駒を見てみますと、安田記念馬のリアルインパクトと、ダービーを勝ちましたが距離が長いと心配されていたディープブリランテは共にトモの幅はありディープインパクトとは似ていません。春天2着のトーセンラーは細身で下半身全体が直線気味、ディープインパクトに似た下半身をしています。キズナやジェンティルドンナはこれらの中間のような印象です。ディープインパクトに似た体型でなくても活躍馬はでますが、長い距離で活躍するためには、やはり直線的な下半身は適していると言えます。

↓の画像はディープブリランテの1歳の募集時のもの。かなり馬格のある馬で、トモ幅はあり、飛節も直飛とは言えません。これはこれで好馬体なのですが、ディープインパクトとは似ていません。

今年のウインの募集馬のコスモフォーチュンの12です。この馬は直線的な下半身でディープインパクトに似ています。下半身以外にも背中の感じなども似ていると思います。長い所で期待できるかもしれません。

前回挙げた会報にも書いていましたが、長距離を走る場合は、走法のわずかなズレ、すなわち体型のミスが積もり積もって最後に大きく影響してきます。短距離馬はトモの筋力の加速力をメインに走るので体型にミスがあっても多少はごまかしがききますが、長距離馬はききません。ゆえに大きなトモをもったジグザグ状の下半身を持った馬よりも、細身になりやすい直線的な下半身を持った馬は、全体のバランスの重要性がより大きいと言えます。

ディープインパクトは最強無比と言える馬でした。特に春の天皇賞はあれ以上のパフォーマンスは存在するのかという程でした。日本の長距離戦では、ディープインパクトは進化の最終形態なのではと思わせます。もしディープインパクトが本当に最強ならば、ディープインパクトの馬体が最適なものということになり、あの440キロの馬体も最適だということになります。もしもっと馬格があったらもっと強かったらと言えるのなら、ディープインパクトは最強ではなくなります。もしこの仮説が成り立つならば、なぜあの馬格が最適になるのかは興味深い問いです。ディープインパクトの走法にはあれ以上の筋力は必要なく、それ以上はエネルギーのロスになり邪魔だったのかもしれません。

現在のディープインパクト産駒でG1を勝っているような馬は皆、馬格があります。トーセンラーが馬格、体型ともに似ていますがG1は勝っていません。ですので、本当にディープインパクトらしいディープインパクト産駒はまだ出ていないと言えると思います。でも、例えばサンデーサイレンス産駒の中で、サンデーサイレンスに瓜二つと言えるような後継はいませんので、ディープインパクトの場合も多分出ないのだろう、出ないものなのだろうと思います。


また次回に続きます。

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