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2013/03/24

高松宮記念が終わって

今日の高松宮記念、とても良いレースでした。勝ったロードカナロアについては今更何も言うことはないでしょう。ただ強かった。できたらこんな馬がほしい。

スプリント路線はやはり特殊で、7着まで社台系生産馬はなし。1~3着は父は非サンデー系。(3着のハクサンムーンの父アドマイヤムーンは母父がサンデーですが。)中距離路線とはだいぶ傾向が異なります。積極的にも消極的にも、非社台系のクラブだとこの路線をもっと狙っていくべきだと思います。

4着のサクラゴスペル。ウチの2歳馬の名前がウインゴスペルに決まってから一段と注目するようになりました。ウチのゴスペルがこのように活躍してくれたらと。

3着のハクサンムーン、やっぱりアドマイヤムーンはスピードありますね。まだラフィアン・ウインで募集馬に入ったことはありません。ぜひ入ってほしいとは思っていますが、社長達はあまり興味がないみたいです。

そして、2着のドリームバレンチノ。強かったし惜しかった。相手が悪かった。本馬は持っていなくて、全妹を持っている身としては、この兄の活躍は、半分嬉しくもあり、半分正直悔しくもあります。

3/21にドリームバレンチノの全弟が生まれたそうです。もしラフィアンの方で募集されたら、最近売れ行きが悪いとはいえ、かなり人気になるでしょうね。私はポイントと価格で買えなさそうですが・・・。もしウインで400口だったらいけるかもしれません。

2012/12/30

速く強い馬を求めて

今年の競馬もディープインパクト産駒もすごいですが、それ以上にオルフェーヴルの凱旋門賞、ゴールドシップの有馬記念とステイゴールド産駒(ステマ配合)のインパクトが強かったです。

来年のステイゴールドの種付け料は800万に上がりますが既にBookfullの状態です。一口馬としても各クラブで価格は上がっても、ますます人気がでるでしょうね。

そんなステイゴールドですが、来年度も私はおそらく出資はないだろうと思います。理由は、募集価格はさらに上がるだろうということもありますが、ステイゴールド産駒は私のメインターゲットの芝短距離(ここでは1400m以下)がほとんど走らないからです。今年の成績は1400m以下はわずか2勝、1200mはマイネヴァイザーの未勝利1勝のみでした。

代わりに、なんといってもロードカナロアを出したキングカメハメハ、カレンチャンのクロフネ、あとはアドマイヤムーン、ダイワメジャーあたりに大いに魅力を感じます。

例えばカレンチャンの血統を見るとクロフネ×トニービンなので、中距離以上に適性がありそうな構成です。キングカメハメハもマイルや中距離の方が活躍馬が多いです。他にはサンカルロもシンボリクリスエス産駒で短距離血統に見えません。これらから思うのは、スプリンターでもチャンピオンクラスになるにはスピードだけでなく潜在的にマイル以上の距離をこなせるスタミナが不可欠ということ。勝ち星がスプリントに集中するサクラバクシンオーやマイネルラヴはアベレージは良くても、産駒数の割に突き抜けた馬が少ないのは、その裏返しとも言えます。

私が短距離血統を好む理由として、ポジティブなものとネガティブなもの両方があります。ポジティブなものとしては、単純に駆け引きなしの純粋なスピードの競馬に美しさを感じること。陸上の100m競走のように。短距離では先行でも追い込みでも駆け引きは(ほとんど)不要です。本来、馬は草を食べていて敵が近づいたら逃げることで進化してきた動物。スタートで行き脚がつかない馬は自然界では淘汰される存在でした。スタートから飛ばす競馬に、生物としての馬本来の原点があります。(逆に、折り合いや駆け引きが求められる中長距離は人馬一体の人工的な美があると言えますが)

ネガティブな理由としては、サンデーサイレンス系、社台Gばかりとなった中距離路線とは異なり、多彩な血統が活躍できること。決して社台Gばかりで占められていないこと。

一口馬主的にも、スピード馬は勝ち上がりしやすいこと。血統馬でもクラシック向きのものに比べたらお求めやすいことなどもあります。

スプリント路線は、クラシックはないですが、強ければ香港、ドバイ、ロイヤルアスコットと世界中へと夢は広がります。今年のロードカナロアはまさにその体現です。

私も中長距離が嫌いなわけではないので、お金があれば様々なタイプの馬に出資したいと思いますが、資金が限られている中では、自分なりのテーマや目標を持って選馬することは大事です。芝短距離馬と思って出資して、結果的にダートや長距離で活躍してもそれはそれでOKですが、検討のときは、マイル以下で強そうなスピードを求めていきます。今年はウインの方にも入会したわけですが、先日の特別募集馬はその点からも魅力的です。

来年も、速くて強い馬を求めて、一口ライフは続きます。

2012/12/10

ロードカナロアの香港スプリント勝ち


昨年にカレンチャンが差のない5着に入り、今年のスプリンターズSのワンツー組ならもしかしたら、と思っていたら、本当にロードカナロアが勝ってしまいました。しかも圧勝。

短距離好きの私には、この快挙は特に喜ばしいです。香港馬は短距離主流のオーストラリア産馬が多いからスプリントで強いわけですが、マル外でなく日本産馬で(しかも社台系でない)、また多くの香港馬のようにセン馬でなくても、このスプリントの頂上決戦とも言えるこのレースを勝てた意義は相当大きいと思いますね。

これでサクラバクシンオーやタイキシャトルを超えて、最強スプリンターと呼ばれてもおかしくない実績馬となりました。ロードカナロアはロードの一口馬なわけですが、私もロードカナロアのような馬に出資したいと素直に思います。来年の春はぜひドバイゴールデンシャヒーンに行ってほしいです。クラブ馬なのでロイヤルアスコットやブリーダーズカップまでは難しいかな…。

今の日本の種牡馬リーディングを争いを見ると、ディープインパクトは確かに物凄いですが、短距離やダートをこなすパワーの面ではキングカメハメハの方は上です。私としてキングカメハメハの方が好みなので、そのうちロードカナロアのような短距離向きのキングカメハメハ産駒がラフィアン・ウインでも募集されないかと期待します。

今回の勝利は確かに快挙で、ネットを見てるとそれなりの反応はあるのですが、例えばオルフェーヴルの凱旋門賞時と比べると、全然大したことのない盛り上がりです。残念なことですが日本では短距離の地位はまだまだ低いですね。今年のJRA賞最優秀4歳以上牡馬にロードカナロアがどれくらい入るか見ものです。

2012/03/22

高松宮記念の出走馬から

今週は高松宮記念。本ブログで度々書いていますようにスプリント戦好きな私にとっては楽しみなG1です。

なぜスプリント戦が好きなのかというと、中長距離戦と異なる(比較的)展開に左右されないスピードの真っ向勝負という熱い戦いというのもあるのですが、それ以外にも最近の競馬がつまらない理由としてよく言われるもののいくつか
1.社台グループの生産馬ばかり
2.サンデー系ばかり
3.スローペース症候群の上がり勝負ばかり
がスプリント戦には当てはまらないということもあります。

現に今年の高松宮記念の出走馬18頭を見てますと、
父サンデー系 4
母父サンデー 2
母父サンデー系 2
社台系生産馬 2
となっており、サンデー系、社台生産馬が大半を占めるクラシックレースとはまったく異なる構成となります。これもスプリント戦が日本において非主流がゆえに社台が力を注いでいないからこそなのですが。

もっともスプリントG1も優勝馬はキンシャサノキセキやカレンチャンのように数少ない社台生産馬から出てしまうことも多いのですが…。

さて、我らがラフィアンも大目標をクラシックに置いてしまっているためにスプリント戦は手薄で今年も出走馬はいません。多分マイネルラヴ以来本格的な強いスプリンターは出てない気がします。スプリンター血統がいなくはないのですが、なかなか強い馬は出てきません。だからこそウチのショコラーデには期待していますし、2歳馬のイルソーレとハッピーも血統的にスプリンターとしての素質はあるかもと楽しみにしている面もあります。

2011/11/05

胴の長い馬

胴長のスラっとした馬は、ストライドが大きく長い距離向きの体型。胴が詰まった馬はストライドが小さくなるのでピッチ走法になるので、短距離向きの体型。このことは馬体の見方の定型句のようにどこにでも書かれているようなことです。もっとも数でいえば胴が長くも短くもない普通くらいの馬が一番多いです。

しかし、もちろん例外も多々あって、胴が短いのに距離をこなせる馬、胴が長いの短距離馬もそれなりに見られます。しかし、数でいえば前者よりも後者の方が多い気がします。つまり胴が長い方が距離のレンジは広そうな印象を私は持っています。

ラフィアンの岡田総帥も「短距離馬も胴が短いよりは長い方が良い」と口にしています。このことが正しいとするならば、あらゆる距離で胴が短いよりは長い方が有利であり、日本においては胴が長い馬は短距離もいけるけど、距離が持つので地位が高い中長距離を多く走り、胴が短い馬は距離がもちにくいので仕方なく短距離を走っている、とも言えてしまいます。

もちろん、適性を決めるのは体型だけではなく、距離適性を決める要因の一番はやはり気性、あとは筋肉の付き方でしょうか。筋肉でゴツゴツした馬はパワーはありますが、同じ距離を走ってもエネルギー消費が大きいので距離が持たないみたいです。

日本のスプリンターは胴が長い馬は多くはないですが、アメリカやオーストラリアの一流スプリンターを見ると胴が長い馬が多い気がしています。もちろん筋肉はガッチリしていますが。

以上のことは私もまだ確信を持つまではいっていないので、これからもっと検証していこうと思っています。

この観点から私の出資している1歳馬を眺めてみます。まずはイセノトウショウの10。スラっとした体型をしていて、プリサイスエンド産駒なのに長い所での活躍を期待しています、とまで言われている馬です。胴はやや長いといった感じでしょうか。このまま見立ての通り中距離馬になってもいいですが、血統どうりの短距離馬に化けてもおもしろいと思います。


次にコスモフォーチュンの10。ブライアンズタイム産産駒に牝馬です。マイネルラヴ産駒の母は完全なスプリンターでした。本馬も典型的な胴が詰まった体型と言えます。気性も前向きということなので、ほぼ間違いなく短距離で活躍してくれることでしょう。


そして、二次募集で私が出資を検討している一頭のラブアクチュアリーの10。父は米のチャンピオンスプリンターであるアルデバランⅡ。母はダンスインザダーク産駒ですが、短距離で活躍しました。血統からは完全な短距離馬なのですが、本馬は典型的な胴長な体型。上記のモデルケースとしても注目したい一頭です。


2011/08/01

スプリント雑記3 日本のスプリント路線へ望むこと

スプリント雑記も3回目。「日本と世界のスプリントの現状」、「グローバルスプリントチャレンジ」の続きです。

これまでの述べてきたように、日本のスプリントは香港、オーストラリア、アメリカらに比べてレベルは落ちる。しかし、このままで言いのか?と問いたところで、多くの競馬ファンらは別にここままでいい、と答えそうな気がする。やっぱり日本の中心は中距離路線であるし、そこでナカヤマフェスタが凱旋門賞で2着となったり、ドバイWCでヴィクトワールピサが勝利したりと実績を残している。この路線で結果が出ていれば短距離で水を開けられていても気にならない人も多いと思う。日本の馬達がスプリント路線でも世界で活躍してほしいと願うのは、私のように一部のコアな競馬ファンに限られるとは思う。しかし、ここではどうすれば日本のスプリンターが強くなれるのか少し考えてみたい。

香港、オーストラリア、そしてアメリカでもセン馬ばかりであるが、セン馬は馬の気性を抑えて扱いやすくすること、そして長く走れるようにすることには効果があるとは思うが、馬の能力の絶対値は変わらないと思う。あと香港馬にはサイレントウィットネスの570kgのように巨漢馬が多いイメージもあるが、この馬は例外的で、テイクオーバーターゲットはスプリンターズSで518㎏であったし、これくらいの大型馬なら日本でもいくらでもいる。馬体の大きさの違いは気にするほどでもないと思う。中距離も合わせてトトータルで見れば、日本は香港、オーストラリアに馬の質で負けていることはないので、やはりスプリンターの価値の持ち方、どれだけ限られた生産資源をスプリンター血統に割り振れるか、いかに最初からスプリンターとして育てられるかであろう。

まずはスプリント路線の充実について。JRAとしては決してこの路線を軽視はしてないとは思う。スプリンターズSと高松宮記念の両G1を設立して以降も、徐々に短距離重賞は増えてきた。新潟で直線重賞アイビスサマーダッシュもできたし、サマースプリントシリーズも5つの重賞が揃っている。地方競馬の方でも今年、地方競馬スーパースプリントシリーズというものができた。各地方競馬場で最短のコースを使用したシリーズで、距離は800mから1000mである。これはなかなか面白い試みだと思う。

だが、日本のスプリンターが強くなるためにはまだ足りない。もう一段の充実を望みたい。そのためには2歳と3歳春のスプリント路線の充実である。2歳12月には朝日杯フューチュリティSと阪神ジュベナイルフィリーズがあるし、3歳春にもNHKマイルCがある。しかし、もはやマイル路線とは短距離とは違う。どちらかと言えば中距離に近い路線である。スプリンター向きの馬は無理にマイルを走らず、早くからスプリントに専念した方がいいのである。スプリンターの特性は、1200でも先行して粘り込むようなレースをする馬で適性は見極めやすいと思う。

スプリント路線、そしてダート路線にも言えることだが、JRAはこれまで3歳春までのこれらの路線は充実させてこなかった。スプリント重賞は2歳には複数あるが、3歳春はファルコンS(1200m)、それと桜花賞トライアルであるフィリーズレビュー(1400m)のみである。ダートはユニコーンS一つでそれもダービー後である。これはスプリントやダートの重賞で賞金を上乗せた馬にクラシックには出て欲しくないという意図があるものと思われる。しかし、一昔前までは短距離馬だろうがダート馬だろうが賞金さえクリアしていたら何が何でもダービー、オークスという時代もあったが、最近は賞金はあっても短距離馬やダート馬は出てもどうせ勝てなくて消耗するだけなので、空気を読んで出ない陣営が増えてきた。逆に3歳のスプリント路線が充実すれば、クラシックの枠を心配せずともスプリントの重賞の方に進んでくれるはずである。
オーストラリアの馬達が中距離のクラシックよりも2歳スプリント戦のゴールデンスリッパーSを目標とするように早い時期のスプリンターにとっての目標はあった方がいい。現在はファルコンSのみである3歳スプリント重賞だが、3つにしてスプリント3冠にしてほしい。できれば距離は1000、1200、1400と異なる方が面白い。G1である必要はないと思う。クラシックの時期と重なればスプリンターはそちらに流れ、クラシックの枠にとっても良いことになるはずである。できれば2歳暮れでも牡牝混合の1200mのG1、無理ならG2がほしい。フェアリーSも1600mになってしまったこともあるし。路線が充実してくれば、生産の方でもよりスプリンターを意識した配合が増えてくるはずである。例え上記の重賞改革を行っても、日本が香港やオーストラリアのスプリンター達に層の厚さで敵うことはないのではあるが、それでもトップレベルに育つ馬がポツポツでも出てきてくれればと思う。

日本ではサンデー系の中ではスプリント実績があるフジキセキだが、これがオーストラリアへシャトル種牡馬となったときには、スプリンター種牡馬としては失敗と見なされてしまった。活躍馬がでたがSun Classique (ドバイシーマクラシック)のように中距離馬でスプリンターではなかった。より本格的なスプリント血統が求められているのである。

日本にもたまに良いスプリント血統の種牡馬が入ってきているとは思う。BCスプリント馬スクワートルスクワートなど良いとは思うが、あまり生かしきれていない。ダーレーのザール、(もういなくなったが)ディクタットも良いスピード種牡馬だと思うが、やはり現状では質のよい肌馬は集まらない。前に書いたが、コマンズの導入は画期的なことだと思う。ダーレーの良血の繁殖に多数付けており、現状の日本の層の薄いスプリント路線を変えてくれるかどうか大いに注目している。このコマンズ、500万という種付け料もあり、付けたのはほとんどダーレーで外部はあまり付けていないようである。

世界に通用するかはまた別の話だが、個人的にはファルブラヴは50万まで種付け料が下がったが短距離種牡馬として見たら優秀だと思う。人気は下がっているがアドマイヤコジーンも良いと思うし、これからデビューするものとすればフサイチリシャール、ローレルゲレイロなどはスピードは伝わりやすい印象で短距離種牡馬として注目している。

2011/07/30

スプリント雑記2 グローバルスプリントチャレンジ

現在、私が最も注目している世界競馬でのイベントであるグローバルスプリントチャレンジ。日本、香港、シンガポール、オーストラリア、イギリスのスプリントG1を舞台にポイント制で世界一のスプリンターを決める。今のところドバイは入っていないが、そのうち加わるはずと思っている。なぜ注目しているかというと、世界のスプリント路線はこれから本当に「グローバル」になる可能性を秘めていると思える。昨年、今年は、オーストラリアのBlack Caviar、シンガポールのRocket Man、香港のSacred Kingdom、南アフリカのJ J the Jet Planeなど役者が多く、日本でもコアな競馬ファンの間では盛り上がっている。

かつて、世界の2000~2400mのレースを対象にしたワールドレーシング・チャンピオンシップというのもあったが、自然消滅状態だし、マイルが舞台のアジアマイルチャレンジというのもあるが、これもまったく機能していない。(そもそもマイルチャレンジなのに4レース中2レースが1400と1800mという状態)。これらと違い、なぜスプリント路線がグローバルに展開する可能性があるのかと私が思う理由をいくつか挙げてみる。

王道路線ではない
主に日本や欧州に当てはまることであるが、いうまでもなく日本や欧州では中距離路線が充実している。日本の古馬だったら、天皇賞、宝塚、JC、有馬など目標とするレースはいくつもある。無理して海外遠征しなくても自国のレースだけで路線を完結できる。それと比べて、日本ではスプリントG1は高松宮記念とスプリンターズSの二つしかない。ただしマイル路線も合わせれば十分なレース数となるのだが。マイラーとスプリンターのどっちつかずの短距離馬ではなく、真のトップスプリンターだったら活躍の場を求めて世界に飛び出すのをためらう理由はないはずである。裏方路線であることが逆に自国の路線に束縛されることなくグローバルに展開しやすくなるように思う。

日本馬は凱旋門賞へ執拗に挑戦はし続けているが、日本の例えばJCと凱旋門賞は求められるものが違いすぎる。いつかは両方制する馬が現れるかもしれないが、それは突然変異的なものになるだろう。やはり日本と欧州の芝中距離路線はワールドシリーズで定常的に交流対戦するのには向いていない。

ドバイWCがオールウェザーの馬場になって、日本の高速芝、欧州の深い芝、そしてアメリカのダートのちょうど中間のような舞台となったように思われた。各国の中距離のチャンピオンが比較的フェアに戦える舞台かもしれないが、欧州の本当のトップは元々ドバイにほとんどこないし、アメリカのダートチャンプもオールウェザーになって遠征しなくなってしまった。自国の王道路線がやはり一番大事だし、シーズンの序盤にあえてリスクを取ってまでドバイまで遠征する必要はないと思っているからである。

レース展開が世界共通
スプリント戦の展開というのはとてもシンプルだ。スタートから飛ばせるだけ飛ばしてゴールまでどれだけ粘れるか、というもの。ペースが速くなりすぎて、差し、追い込みが決まることもあるが、少なくともスローペースになることはほとんどない。またハイレベルになればなるほど、先行馬はハイペースで飛ばしてもバテなくなるので追い込みは決まりにくい。

中距離ならレースの展開もハイになったりスローになったり様々で、勝つ馬には先行馬もいれば追い込み馬もいる。またその国々にペースの傾向もあるので遠征して展開が向かず力を発揮できないで終わることも多いだろう。それと比べスプリント戦ならば世界中どこでも勝つためには、ある程度前につけなければならない。また前につければ必然的に前が塞がれたりする不利を受けることもない。この短距離戦のワンパターンな展開は、中長距離戦で見られる騎手の駆け引きなどを犠牲にするが、強い馬たちにとっては国境を超えてもフェアに力を競いあうことができる。

また、香港、オーストラリア、アメリカなどはフラットなコースで、日本も坂はあるが欧州に比べたら全々大したことはない。その欧州もスプリント戦に限ってはほとんど直線競馬となるため、マイル以上の距離とは違い比較的フラットなコースを使用している。つまりコース形態も他の路線と比べると各国の差は小さい。

スプリンターの性質も世界共通
スプリンターズSや高松宮記念で先行して上位にくるような馬、例えばメイショウボーラーやスリープレスナイトのようにダートでも好成績を残している馬がけっこういる。スプリントでの強力な先行力とダートをこなすパワーは通じるものがある。つまり強いスプリンターとなるためにはスピードとパワーが必要でありこれは世界どこでも変わらない。同時にそれを持っている馬は芝ダート両方を(ある程度は)こなせるように、世界の馬場の違いを乗り越えやすいと言える。

消耗しにくい
なぜ、オーストラリア、そしてアメリカで短距離のスピード競馬が盛んだということを考えてみると、まず根本的理由にこれらの国は競馬の経済性を重視しているというのがある。まずスピード馬は早熟で早くからレースを使えて投資資金を回収できること。そして消耗を避けて多くのレースを使うために、欧州とは異なり短距離のレースが中心になったのである。あくまで中距離と比較しての話だが、短距離のレースの消耗が少ないのならば、競走馬が世界を転戦しやすくなる理由になるはずである。例えばグローバルスプリントチャレンジにも組み込まれているイギリスのロイヤルアスコット開催のキングススタンドS(1000m)とゴールデンジュビリースS(1200m)はなんと中3日であるが、両レースに出走する馬も少なくない。

強い馬が遠征に積極的
香港馬がスプリント路線で最強レベルだということは香港国際競走が始まって徐々に明らかになってきた。その香港のトップスプリンター達は、自国に引き篭もりがちな欧州やアメリカの中距離馬達とは違い、ドバイ、日本、シンガポール、イギリスと積極的に遠征していて、好成績を残している。またオーストラリアの馬もイギリスのロイヤルアスコットによく遠征して活躍している。これらトップクラスの馬が自国に篭らず遠征して好成績を残すことはグローバルスプリントチャレンジの大きな刺激となる。香港馬が遠征に積極的なので、競馬後進国であるがゆえに自国の伝統に囚われることがないこともあるだろう。

香港やオーストラリアの馬が各国で走ってくれることによって世界中のスプリンターの順列が付けやすい。ただ、主要国でアメリカだけはなかなか難しい。アメリカは国土が広く自国だけで十分に路線を完結できる。かつてはBCスプリントの勝ち馬がドバイゴールデンシャヒーンには来ていたが最近は来ていない。他国と異なりアメリカのみがダートが主戦場にあるのに加え薬物使用の問題もある。スパイク使用も違う。逆に他の国がBCスプリントへ挑戦する場合にもハンデが多い。アメリカ馬も積極的に関わるワールドシリーズは難しい。せめてアメリカ馬は唯一の芝でないオールウェザーが舞台のドバイにはトップクラスがもっと積極的に出てきてほしいものである。

アジア・オーストラリアの時代
これからの経済はアジア中心の時代とおり、事実世界地図でアジアの役割は大きくなってきている。お金が集まる所に競馬も栄える。今年、中国本土も競馬解禁となった。香港、シンガポールのみならず他の国々でも次々と競馬が行われるようになるかもしれない。そうなると、まずは自国で生産を行うよりも香港、シンガポールのように大量生産しているオーストラリアから買い付けることになるはずである。言うまでもなくそれは短距離中心の馬達である。

現状では主に香港、オーストラリアの馬が中心に走っている世界のスプリント戦。これからこの路線はもっと活発になって価値はあがってくると思っている。日本はこれらの国に差を付けられてしまっていて、最近は日本のスプリンターが海外遠征することは及び腰になっている。しかし、周りの国々が盛り上がっていて日本はただ場を貸して賞金を支払うだけではつまらない。なんとか日本のスプリンターもレベルアップしてほしい。まずはローレルゲレイロのように香港とドバイに遠征するような馬は毎年のように出てきて欲しいものだ。

2011/07/29

スプリント雑記1 日本と世界のスプリントの現状

最近、競馬のスプリント路線、スプリンターについて調べたり思うことを書き並べてみました。長くなってしまったので3回に分けて記事にしようと思います。以前に書いた、「距離の価値観」「速い馬が勝つ競馬」と関連していますのでよかったらそちらも御覧ください。

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日本の競馬はクラシックを頂点としており、また古馬の王道路線も、天皇賞、JC、有馬記念などの中長距離にもっとも比重を置いている。それゆえ、日本の(一流の)競走馬はまずは多くの場合中距離路線(2000~2400m)を目指す。距離が持たない馬、または中距離で敗れた馬がマイル路線(1600~1800m)を歩み、またマイルでも長い馬が、スプリント路線(1000~1400m)に行くことになることが多い。短距離戦に出走するにあたって、「気性がイッちゃてる」「距離が持たない」というネガティブな理由をよく聞く。日本の競馬の距離の価値観ははっきりしていて

中距離 > マイル > スプリント

となっている。スプリント路線も最近は整備されて重賞レースも増えてきた。とはいえ、やっぱり裏方なのである。

日本で普通に競馬ファンをしていたら、短距離馬を軽視してしまうのは当たり前である。キングヘイローやアドマイヤマックスのように菊花賞に出走したような馬が、短距離ばかりを使われていた馬を差し置いて、中距離路線の残念賞みたいに高松宮記念を勝ってしまうのをみると致し方ないことである。この手の馬は大抵、先行馬ではなく差し馬となる。残念ながら真のスプリンターではなくなんちゃってスプリンターと言える。

もっともこのスプリント路線の地位が高くない傾向は程度の差はあっても世界中で見られる。欧州もスプリント路線はクラシックのギニー路線で通用しなかった馬が歩むことが多い。ドバイミーティングでも、ブリーダーズカップでも、香港国際競争でも、一番賞金の高いレースは2000mのものであり、スプリントは高くない。短距離戦が盛んなイメージがあるアメリカでさえ、条件戦は短距離が多数を占めていても、スプリントのG1はブリーダーズカップスプリントが初なのである。現在ではアメリカ全部で8つほどのスプリントG1があるらしいが、約100あるG1レースに占める割合は小さい。短距離王国と言われてスプリントG1が多数あるオーストラリアでも、高額賞金レースは2040mのコックスプレートや3200mのメルボルンカップであってスプリント戦ではない。

最近、日本のスプリント路線はレベルが低いと言われている。中距離こぼれの馬が高松宮記念を勝ってしまい、かつてのサクラバクシンオーのような生粋のスプリンターと言えるチャンピオンは長いこと登場せず、スプリンターズSではサイレントウィットネス(香港)、テイクオーバーターゲット(豪州)、昨年のウルトラファンタジー(香港)らが日本馬を寄せ付けず快勝し、逆にチャンピオンクラスの日本馬が多数遠征した暮れの香港スプリントでは未だに入着すらないからである。

最近の日本のスプリンターの低迷は、根本的には日本の競馬は中距離中心ということがあるのだが、アグネスワールド、シーキングザパール、タイキシャトルのような強いマル外が減少したことも大きい。

今年のダービーで出走馬全てのサンデーの孫というほど中距離路線を席巻しているサンデー系だが、スプリント路線ではだいぶ様子は変わる。今年の高松宮記念は勝ったのはサンデー孫のキンシャサノキセキだが、サンデーの血を引く馬は5頭しか出走していなかった。象徴的なのが直線1000mのアイビスサマーダッシュで、設立からの11回のうちサンデーの血を引く馬が連対したことは一度もない。今年は掲示板にすら載っていない。ちなみに掲示板に載った5頭は全てミスプロの血を引いた馬であった。血統の多彩さでいうとサンデーばかりの中距離よりもさまざまな血統が見られる短距離の方が面白い。もっとも短距離中心のオーストラリアでは血統はデインヒル天国となっているので、日本の短距離の血統の多彩さは中距離中心がゆえと言えるかもしれない。

逆に、香港やその馬の仕入れ先であるオーストラリアがなぜ短距離で強いのか。日本では多くの生産者が2400mのダービーを中心とした中距離のクラシックを目標に生産しているのに対して、オーストラリアでは世界最高賞金の2歳戦である1200mのゴールデンスリッパーSを目指して生産しているからであると思われる。オーストラリアの3歳で2400mのダービーはあるのだが、ゴールデンスリッパーSの方は地位は上のようである。ほとんど全ての馬がまずは1200mのゴールデンスリッパーSを目指す。3歳でそのままスプリント路線を歩む道、ダービーやコックスプレートなど中距離路線を行く道に分かれる。スプリントが強いはずである。逆に日本馬がメルボルンカップでワンツーをさらったように中長距離路線は手薄なようである。

2011/05/06

速い馬が勝つ競馬

4/30にイギリスにニューマッケットで行われた2000ギニー。勝ったフランケルの強さにはただただ脱帽するばかり。G1のマイル戦をスピードの違いで圧倒するこの勝ち方はほとんどお目にかかることができません。次走はダービーではなく同じマイル戦のセントジェームスパレスSが有力だとか。この馬の強さはスプリントのスピードでマイルをこなすことができるとも言えます。前走の1400mの前哨戦でかかる素振りを見せたことからも適正が中距離より1200~1600mの方に適正があるのはほぼ間違いないと思うので、ぜひスプリントとマイルの二つの路線の制覇を目指してほしいと思います。


このレースを見て、速い馬が勝つというのが競馬の原点なんだと再認識させられた気がします。実際にスプリント戦(~1400m)では、多くの場合、速い馬≒強い馬と言えます。条件戦は別として、ハイレベルのレースになればなるほど、スタートを決めて先団に取り付ける速さがないと勝負になりません。強いスプリンターはそのスピードを最後まで持続させます。逆に言えば先行勢がバテてしまい追い込みが決まるようなスプリント戦は真にハイレベルなものとは言えないと私は思っています。

マイル以上のレースになると、今回のフランケルのように抜けた強さがない限りスピードで最後まで押し切ることは困難です。日本のレースを念頭に置くと、マイル以上の距離では多くの場合レースの中盤では一度ラップが落ちつきます。そして中距離、長距離と距離が伸びるほどレースで勝つためにはレースの終盤でペースが上がる際の瞬発力、折り合い、騎手の腕、レースの展開などの要素がスピード以外にも重要になってきます。そして距離が伸びれば伸びるほどに、短距離とは逆にレース序盤のスピードがなく後方のポジションでも挽回しやすくなると言えます。

レース観戦や馬券の推理を考えれば、スピード以外にもより多くの要素を考慮しなければならない中長距離戦の方が見応えがあると言えるかもしれません。ですが、私は一口馬主とはいえ馬を持つ立場から考えると、スプリント戦の中長距離にないシンプルな構造がすごい魅力的に映ってくるときがあります。勝つために基本的にスタートを決めて先団に取り付けてそのゴールまで粘り込むこと。もし最後バテて差されるならば、それは馬が弱かっただけと諦めがつきます。それに対し、中長距離戦を勝つためにはスピード以外にも多くの要素が必要、すなわち負けたときの場合もそれだけ多彩で、道中の位置取りが悪かった、直線で前が開かなかった、騎手の判断が悪かった、展開が向かなかった、などなど馬の本来の能力とは外れた敗因を求めることができ、負けたときの悔いが残りやすくなると言えます。もちろん短距離戦でも展開や騎手の腕などの要素は皆無ではありませんが、長距離と比較すればそれらが占める割合は少ないのは間違いありません。

馬は本来、草を食べて敵が来たら全速力で逃げる動物。ここでスタートがゆっくりしていたら敵に捕まってしまいます。つまり本能的には馬はスプリンター的な性質であると思います。逆に距離が伸びれば本能ではない上記の人工的な性質が必要となってくると言えます。スピードの一本調子なスプリント戦と、スピード以外にも騎手を含む数多くのものが要求され総合力を問われる中長距離戦。それぞれの良さがありますが、日本ではクラシックが中距離主体なこともありこちらの方が重視されていることもあり、やはり短距離路線は裏方です。馬の本来の力と力がぶつかり合うスプリント戦、日本でももっと地位が上がって欲しいと思っています。

2011/03/02

ダーレーの戦略的種牡馬 コマンズ

かつては海外で走った種牡馬がメインでしたが、アドマイヤムーンやディープスカイなど日本の馬も導入しより多彩で魅力的なラインナップを提供しているダーレー・ジャパン・スタリオン・コンプレックス。

出資馬であるパツィエンザの09の父ザールも私の注目の種牡馬ですが、今回取り上げてみたいのはコマンズです。豪州からのシャトル種牡馬で昨年もオーストラリアから日本にやってきています。今年も再来日して2年のシーズンとなります。

以下抜粋
「コマンズは、父Danehill、母Cotehele House(母父My Swanee)という血統で、全兄に豪チャンピオンホースDanewinが、おじにG1競走10勝馬Octagonalがいる良血馬。本馬は、STCミサイルS(豪G3)など通算15戦4勝(重賞1勝)という成績をあげ、種牡馬としては2010年にエレウォンやスキルドが新たにG1馬として加わり、通算でG1馬6頭を輩出している。今年も既に10頭のステークスウィナー(ステークス勝馬頭数は豪州1位)を輩出し、豪州種牡馬リーディング第3位に躍進している。」

このコマンズですが、今年の種付け料も昨年と同様に500万円とかなり高額に設定されています。これはキングカメハメハ、ゼンノロブロイ、マンハッタンカフェらと同額。400万のネオユニヴァースやダイワメジャーよりも上です。ダーレー・ジャパン内でも最高額の種牡馬です。

父デインヒルということでオーストラリアで大人気種牡馬で実績も十分ということはわかりますが、あくまでも短距離種牡馬。日本ではあまり人気になりそうにありません。しかしこれはオーストラリアで高額な手前、日本でも表向きは安くできないということで、実は値引きの裏料金があるという噂ですが。。。

昨年は64頭に種付けをし、うち58頭がダーレーの繁殖だということで外部の種付けは少数です。今年も50頭以上の種付けを予定しているとのこと。ここであれ?と思うのは外部の少なさではなく、ダーレーの種付け数。現1歳のダーレーの生産馬を見てみると全90頭で半数以上は同ファームの種牡馬ですが、アグネスタキオンなど外部の種牡馬も積極的に取り入れバランスの良いラインナップに見えます。それを自家繁殖の半数以上にコマンズをつける大幅な方針転換です。

これの意味するところはなんでしょう。明らかに日本の中距離のクラシックを狙うつもりではなさそうです。恐らくサンデー系をはじめ中距離重視の社台グループに正面から立ち向かうのではなく、逆に手薄な分野である短距離路線で勢力を伸ばそうとしているのでしょうか?だとしたら賢明な作戦だと思います。真意は分かりませんが興味深いです。

ところでコマンズの兄はチャンピオンになった競走馬ですが、コマンズ自身はG3を一つ勝ったのみで競走馬としては大成したとまでは言えません。それでもこんな大種牡馬になっています。フェアリーキングのように海外ではよく聞く話ですが、日本ではまず聞きませんね。そういう意味でディープの全弟オンファイア(G3で3着)は注目していますね。

2011/02/22

距離の価値観

クラシックディスタンスと言われる2400m。なぜ日本ダービー、その模範の本場のダービーが2400mになったかというと、昔は数多くあった3000~4000m辺りの長距離戦と短距離戦とのちょうど中間の距離であったことが主な理由らしい。つまり昔はスピードとスタミナがバランス良く求められるのが2400mあたりの距離であったわけだ。

ダービーのみならず、欧州の最高峰のレースであるキングジョージと凱旋門賞も2400mであるし、この2400m至高主義は欧州、そして日本でも長らく続いてきたが、恐らく競馬の世界地図でダートの小回り競馬が主流のアメリカが大きな割合を占めてきたことによって変わってきた。より早熟性とスピードが求められようになった。アメリカの最高峰のケンタッキーダービー、BCクラシックは2000mだし、比較的最近に新設されたドバイWCや香港国際レース、シンガポールなどで一番賞金の高いレースは皆2000mの距離である。

ここ10年で欧州のチャンピオンはダービー馬でもキングジョージや凱旋門賞をスキップして、愛チャンピオンSや英インターナショナル、そしてBCクラシックの2000mを目指すことが珍しくなくなった。理由はもちろん2400mの実績だけでなく、2000mでも通用するスピードを示すことで種牡馬価値があがるからである。数年前に凱旋門賞の賞金が大幅に引き上げられ、芝のレースでは世界一になったにも関わらずこの流れは変わらないようである。

つまり、競馬のスピード化が進み3000m辺りの従来の長距離戦の価値が下がった。それで代わって長距離戦となった2400mと短距離の中間の2000mがスピードとスタミナが両方求められるチャンピオンディスタンスとなったわけだ。

日本でも随分前に、秋の天皇賞も3200mから2000mになり、短距離路線も整備された。しかし欧州よりも2400m至高主義はおそらく強い。最高峰のレースはダービー、ジャパンカップ、有馬記念であるし、これらのレースを勝った馬が年度代表馬でも大きくプッシュされる。秋天の2000mの地位は高いが短距離は低い。マイラーでもよく年度代表馬に選ばれる欧州とは違い、日本で短距離馬で年度代表馬となったのはタイキシャトルしかいない。

また、欧州ではセントレジャーを始め長距離戦の没落が著しいが、日本も多少は没落したとはいえ、菊花賞や春天はそれなりの地位があるように思える。これは欧州がファンよりも生産者の競馬であるのに対し、日本は生産よりもファンの位置に近い競馬だからかもしれない。生産界でのステイヤーは壊滅したけど、長距離戦を好むファンはまだまだ多い。

欧州は年度代表馬でも分かるように、スプリンターやマイラーも2000~2400mも中距離馬とほぼ変わらぬ地位を占めるが、日本では牡馬だったら、まず皐月賞やダービーのクラシック路線、主に2000m前後の路線を目指す。そこで通用しなかった馬がマイル路線に行く。マイルでも長い馬がスプリント路線に流れる。これはマイルCSが秋天の敗者復活戦のような状況になっていることからもわかる。2000~2400mが最重要視されているというよりは、短距離戦が軽視されすぎている印象である。これはいまや日本の血統を先導している社台がサンデーを始め中距離を重視していることが大きい。我らがビッグレッドも言わずもがな最大目標は2400mのダービーである。

余談になるが、自分がもし中小牧場の経営者だったら、社台の得意カテゴリには決して挑まない。牡馬クラシックは捨てる。そして社台が力を入れていない1200~1600mに絞って強い馬を作る戦略を取りたい。マイネルラヴやアグネスデジタルは頼もしい種牡馬だ。もしラフィアンがこのように方針転換したら私はもちろんついていくが、あり得ないだろう。

2000mがチャンピオンディスタンスとなったのが今現在。そして時は流れて歴史は恐らく繰り返すと考える。経済の世界地図ではアジアの時代と言われているが、お金のあるところに馬も集まる。競馬でもアジアが占める地位が大きくなっている。香港やシンガポール、そして中国本土でももうすぐ競馬が解禁となるそうだ。香港やシンガポールの競馬では、その多くがオーストラリアの生産馬が占めている。そのオーストラリア、そして香港、シンガポールは短距離中心の競馬である。今や香港のスプリンターは世界トップクラス。日本馬は香港スプリントではボコボコにされ、スプリンターズSでは向こうの二流馬に遅れをとる。中国本土も恐らくは香港と似たようなレース体系になるのではないだろうか。

つまり、アジアを中心にスプリント戦の重要性は高まり、さらに競馬界のスピード化が進む。そうなるとかつての長距離路線が辿ったように、今度は2400mの価値も相対的に下がり、2000mでも長距離となる時代が来るかもしれない。そうなるとどうなるか?今度チャンピオンディスタンスとなるのは1200mと2000mの中間であるマイル戦となるかもしれない。安田記念が古馬の最高峰となる時代が来るかもしれない。

しかし、日本は制度改革を始め、何事にも対応が遅い。また別に周りの国に合わせる必要はないのではと我を貫く声も多いだろうし、少なくとも近い未来はないだろう。いつまでダービーの2400m至高主義を貫いていくのか注目したい。