2011/05/06

速い馬が勝つ競馬

4/30にイギリスにニューマッケットで行われた2000ギニー。勝ったフランケルの強さにはただただ脱帽するばかり。G1のマイル戦をスピードの違いで圧倒するこの勝ち方はほとんどお目にかかることができません。次走はダービーではなく同じマイル戦のセントジェームスパレスSが有力だとか。この馬の強さはスプリントのスピードでマイルをこなすことができるとも言えます。前走の1400mの前哨戦でかかる素振りを見せたことからも適正が中距離より1200~1600mの方に適正があるのはほぼ間違いないと思うので、ぜひスプリントとマイルの二つの路線の制覇を目指してほしいと思います。


このレースを見て、速い馬が勝つというのが競馬の原点なんだと再認識させられた気がします。実際にスプリント戦(~1400m)では、多くの場合、速い馬≒強い馬と言えます。条件戦は別として、ハイレベルのレースになればなるほど、スタートを決めて先団に取り付ける速さがないと勝負になりません。強いスプリンターはそのスピードを最後まで持続させます。逆に言えば先行勢がバテてしまい追い込みが決まるようなスプリント戦は真にハイレベルなものとは言えないと私は思っています。

マイル以上のレースになると、今回のフランケルのように抜けた強さがない限りスピードで最後まで押し切ることは困難です。日本のレースを念頭に置くと、マイル以上の距離では多くの場合レースの中盤では一度ラップが落ちつきます。そして中距離、長距離と距離が伸びるほどレースで勝つためにはレースの終盤でペースが上がる際の瞬発力、折り合い、騎手の腕、レースの展開などの要素がスピード以外にも重要になってきます。そして距離が伸びれば伸びるほどに、短距離とは逆にレース序盤のスピードがなく後方のポジションでも挽回しやすくなると言えます。

レース観戦や馬券の推理を考えれば、スピード以外にもより多くの要素を考慮しなければならない中長距離戦の方が見応えがあると言えるかもしれません。ですが、私は一口馬主とはいえ馬を持つ立場から考えると、スプリント戦の中長距離にないシンプルな構造がすごい魅力的に映ってくるときがあります。勝つために基本的にスタートを決めて先団に取り付けてそのゴールまで粘り込むこと。もし最後バテて差されるならば、それは馬が弱かっただけと諦めがつきます。それに対し、中長距離戦を勝つためにはスピード以外にも多くの要素が必要、すなわち負けたときの場合もそれだけ多彩で、道中の位置取りが悪かった、直線で前が開かなかった、騎手の判断が悪かった、展開が向かなかった、などなど馬の本来の能力とは外れた敗因を求めることができ、負けたときの悔いが残りやすくなると言えます。もちろん短距離戦でも展開や騎手の腕などの要素は皆無ではありませんが、長距離と比較すればそれらが占める割合は少ないのは間違いありません。

馬は本来、草を食べて敵が来たら全速力で逃げる動物。ここでスタートがゆっくりしていたら敵に捕まってしまいます。つまり本能的には馬はスプリンター的な性質であると思います。逆に距離が伸びれば本能ではない上記の人工的な性質が必要となってくると言えます。スピードの一本調子なスプリント戦と、スピード以外にも騎手を含む数多くのものが要求され総合力を問われる中長距離戦。それぞれの良さがありますが、日本ではクラシックが中距離主体なこともありこちらの方が重視されていることもあり、やはり短距離路線は裏方です。馬の本来の力と力がぶつかり合うスプリント戦、日本でももっと地位が上がって欲しいと思っています。

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