本日、野田さんが新しい民主党代表に決まり、近々首相にも任命されることになります。さて、民主党内では前原さんもでしたが、この野田さんもTPP推進派のようです。TPPとは「環太平洋戦略的経済連携協定」の略語でして、その加盟国の間で貿易の関税を0にしようと言うものです。日本にとっては工業製品の輸出に関しては大きなメリットがありますが、農業に関してはオーストラリアやアメリカから安い作物が関税なしで入ってくることになるため、日本の農業が打撃を受けると反対する人も多いわけです。
さて、このTPPですが競馬も無関係ではありません。現在競走馬の輸入に関しても1頭あたり340万円もの関税がかかっているからです。少し前までは600万円でした。TPP参加となると加盟国であるオーストラリア、ニュージーランド、アメリカから安くて強い競走馬が大量に入ってくることになるかもしれません。
日本馬も強くなったとはいえ、水準価格以下での比較ではオーストラリアやアメリカ生産馬には敵わないと思います。これは農作物にも言えることですが、向こうは日本とは比べ物にならないほどの広い土地で、大量に昼夜放牧されながら育ち、とにかく一頭あたりの人件費や資料代は日本より遙かに安いはずです。
例え関税がなくなっても、アメリカやオーストラリアからの輸送費はそれなりにかかるもの。それらも馬鹿にはできないものです。しかし最近は競走馬の大量消費地となりうる中国本土でも競馬が解禁になりました。このため、アメリカのキーンランド社やオーストラリアのマジックミリオン社が中国本土でセリを計画していたり、その際に競争馬をフェリーで大量に運ぶことも考えられているようです。つまり米、豪が催す中国でのセリで馬を買い、日本に船で輸送するルートができるかもしれません。中国を中心に、香港、シンガポール、韓国、そして日本などのために米、豪から、大量にまとめて、そしてこれまでよりも遙かに低価格で入ってくることになるだろうと言うことです。
他の農作物や製品もそうですが、関税が0になると国産の高級品は差別化できるのでなんとか生き残ることができますが、大半の標準以下のものは安い外国産にとって代わられることになります。競馬で言うと、社台グループと他の一部の牧場のみが生き残り、ほとんどの中小の牧場はなくなってしまうことになります。もっとも現在でも中小の牧場は虫の息状態で国内の競争だけでも淘汰が続いている時代ですが。
我々、(一口)馬主などの消費者に取っては、良いマル外が安く手に入ることになるしメリットの方が大きいでしょう。生産者達にとっては厳しい競争を強いられることになりますが。我らがビッグレッドファームはどうなるでしょうか。おそらく生産は一分の良血のみを除いて撤退し、育成中心の牧場となってしまうかもしれませんね。
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