日本ではお金持ちしかなれない庶民のために、一口馬主という商品ファンドという形を取るシステムがあります。見かけ上は一頭の馬を数十人から数百人でシェアすることができます。本物の馬主ではありませんが、馬主っぽい気分を味わうことはできます。本ブログもこの一口馬主をやっている私が書いているブログです。
ファンドという形態を取っているために、馬主にはない様々な税金もかかってきます。最近は制度の締め付けがなかなか厳しくなってきており、本来馬主としてもらえるお金の半分近く中抜きされてしまいます。ただでさえ元を取るのが難しいこの世界。現在、多くの一口馬主を萎えさせている深刻な問題です。(もっとも本物の馬主は馬主で一口馬主にはない大変さがあると思いますが)
しかし一口馬主を超えて、中央競馬で本物の馬主を目指すにしても金銭的にかなり高いハードルがあります。ギリギリ馬主資格を得られるくらいのレベルだと強い馬を持つことも相当困難ですし、それなら同じお金で社台で一口をやったほうがずっといいかもしれません。一応、10人までの共同馬主の制度はありますが、その資格を得るのが庶民には厳しいです。次に中央は無理でも地方競馬の馬主を目指す道もあります。地方競馬の馬主資格は中央に比べれば、はるかにハードルは低いですが、それでも馬を一頭所有するというのはそれなりの負担が必要です。
そして第3の選択肢として、海外で馬主になるという道があります。欧州、香港などは日本と同じく金銭的ハードルが高いみたいですが、外国人や庶民でも馬主資格が得られる国としてアメリカ(州によって異なる)やオーストラリアなどがあります。しかも米と豪では馬をシェアすることが一般的だそうです。日本ではその制度を使って友駿が豪と米で本物の馬主資格が得られる共有クラブを運営しているみたいですね。
先日、オーストラリアの馬主になることについて、現地のホースマンである島さんに色々と教えていただきました。今回はそのときのことをまとめさていただこうと思います。
「こちらは何人までシェアとかすら決まってはいません。ただ10人以上になる場合、シンジケートという共有馬主のグループを作ることになります。ちなみにシンジケートは百人でも千人でも組めます。」
このように分割馬主となっても馬主として扱ってもらえるのはいいですね。ここは日本もぜひ見習って欲しいところです。
「こちらの馬代金・維持費・賞金などは、おおまかな目安として日本の2分の1~3分の1と考えていただいていいかと思います。馬代金も安いのは10万円しませんし高いのは1億いきます。こちらで最もメジャーなイヤリングセールで平均2千万円くらいです。維持費は預ける厩舎に もよりますが、なんだかんだ余計にかかるのがこの世界ですので年間250万~300万と考えたほうが、後で損した気分にはなりません。日本もそうでしょう が、馬代金より維持費がポイントになります。」
中央競馬に1年まるまる預けたとしたら1000万近くかかりますから、やはり3分の1くらいの水準でしょうか。南関東くらいの水準と思えばいいですね。
「そんな維持費をチャラにするラインは、馬がメトロポリタンというクラスで勝ち負けできるかにかかっています。 JRAでいう1000万~1600万下レベル以上のクラスですね。水曜のメトロを1勝すると約150万円、土曜メトロを1勝すると約350万円の賞金を獲得できます。メトロで勝ち負けできない馬を持っている場合は、年々赤字が膨らんでいくことになります。どこの国でも同じですが、やはりいい馬を持たないと続かないですね。」
オーストラリアの競馬場は、メトロポリタン(都市競馬)、プロビンシャル(地方競馬)、カントリー(田舎競馬)に分類できて、前者ほど賞金が高いです。ですが、日本の中央と地方競馬と違って馬の行き来は自由みたいです。その一番高いメトロポリタンでも南関東クラスの賞金でしょうか。そこで勝ち負けできる馬は一握りでしょうから、維持費を稼ぐのは出走手当や8着まで賞金が出る手厚い日本の中央と比べたら厳しい印象です。
「日本在住馬主の代表格は吉田勝己さんですね。そんなに多くは持ってませんが過去に重賞勝ちもあります。デルタやポップもこちらの競馬を知っている吉田さんの提案でメルボルンカップ挑戦が決まったのだと思います。吉田さん以外にも日本在住馬主はいると思いますが、そんなに多くはないでしょうし成功されているかはかなり疑問です。現時点ではそのような日本の方々の需要を満たせる「人」がいないのが現状です。」
分割によって金銭的ハードルは下がっても、日本から現地とのコネクションを持つことはなかなか大変なことです。上記の友駿オーストラリアも選択肢の一つですが、島さんのように日本とオーストラリアの橋渡しになろうとされている方はとても貴重ですね。
もちろんオーストラリアで馬主になったとしたら、日本人にとっては生でレース観戦をする機会はほとんどないことになります。この点さえ目をつぶれば、レース自体の情報や映像は今の時代ネットでなんとでもなります。例え何人でもシャアできるといっても、せっかく馬主になるからには1/10くらいは持ちたいもの。300万円の馬だと一口30万、維持費が月に2~3万円くらいとなりますね。
私も前に記事で書きましたように、これから日本を含めたアジア中にオーストラリアの馬達がもっと入り込んでくることになると予想しています。それだったら、その本場で馬主になることも悪くない選択肢だと思うのです。もちろん、まだまだ先の話ですが将来的には検討してみたいと思っています。
http://yosouka.jugem.jp/
返信削除この方のブログを初期の頃から拝見していて「そういう道もあるのかぁ」と感心していました。
ただ、結果は壮絶なもので、
「人」の問題は現状ではどうしようもないみたいですね。
これならまだ地方オーナーズの方が現実味があるかな。
そのブログは何回か見たことありました。トップの数記事を見ただけではわかりませんが、オーストラリアで馬主やっている方なのでしょうか。
返信削除たしかに、困難は色々ありますが、ネットによって世界がフラットになってきている今の時代。少なくとも一昔前よりは達成しやすくなっているはずです。検討したりだけでも楽しいものですが。
http://dp41009886.lolipop.jp/
返信削除オーストラリアでの活動記録はこっちのURLですね
通りすがりのお方、どうもありがとうございます。
返信削除なかなか詳しく書かれていますね。是非とも参考にさせていただきます。