オルフェーヴルの3冠達成。その強さと功績については今更ここで述べるまでもないでしょう。早々と来年の最大目標は凱旋門賞と表明しました。そして、次走はJCまたは有馬の二択でしたが、有馬記念の方に決まったようです。
この決定はとても残念です。一番の理由は今年のJCには凱旋門賞ワンツーのデインドリームとシャレータ、そしてエリ女経由で3着のスノーフェアリーまでもが顔を揃えるかもしれないということ。来年の最大目標が凱旋門賞だと言うのなら、まずはホームでその上位馬を負かしてやろうとは思わなかったのでしょうか。多少は思っていたにしても、有馬にしたということは馬の状態を考えてレース間隔を開けたいということなのでしょう。それでも、彼女たちは長距離遠征で初の日本、オルフェーヴルらの日本馬よりも遥かに大きなハンディを背負っているのです。この時点で陣営の本気度がどの程度か知れる気もしますし、それにもし本当に本気の本気なら3歳で挑戦するはずですね。
それにしても、日本人の凱旋門賞の至高主義は病的とも言えるものです。欧州と比べると日本は競馬後進国なので、欧州に対しての畏敬の念は根強く残っているのでしょうか。早くどの日本馬でもいいから凱旋門賞を勝ってこの病気を治してほしいものです。そうすれば日本馬の挑戦ももっと他のレースにも分散するようになるでしょう。
凱旋門賞馬のJC出走も勝った馬はいませんし多くが悲惨な成績です。凱旋門賞馬の産駒が日本で走ってもイマイチなことが多いです。むしろダート向きの傾向が強いとも言えます。それくらいJCなどの日本の中距離G1と凱旋門賞は勝つために求められるものが違います。ですので、例え日本馬が凱旋門賞を勝ってもその種牡馬価値は取ったリスクに対して大きくは上がらないか、あまり変わらないかもしれません。
今から言うのもなんですが、オルフェーヴルが来年、今年のヒルノダムールとナカヤマフェスタのように秋に欧州に渡って凱旋門賞に挑戦してもおそらく勝てないだろうと思います。
凱旋門賞はここ10年で3歳馬が8勝。20年で15勝とはっきりと斤量差で3歳有利。さらに長い歴史の中で欧州調教馬以外勝ったことがありません。ディープインパクトの金子オーナーは凱旋門賞後に「凱旋門賞は3歳のスターをつくる舞台と認識した」と言っていたことは印象的です。エルコンドルパサーのように春から海を渡って欧州調教馬となればまた違いますが、古馬の斤量と欧州外からの挑戦と言う2つの壁を同時に崩すのは容易ではありません。クラブ馬であるオルフェーヴルにそんな長期間の遠征はできないでしょうし。さらにオルフェーヴルの場合は、かなりの実績を引っさげての参戦となるので、ディープインパクトの時のように地元馬にかなりマークされる立場になるでしょう。このことは思いの外大きいと思います。
ディープインパクトもオルフェーヴルも本当に凱旋門賞を勝ちたいのなら3歳で挑戦すべきなのですが、二頭とも伝統的な3冠馬の称号の方を優先しました。日本国内の競馬はそれなりに盛り上がりますし、このこと自体は否定すべきことではありません。もしオルフェーヴルが皐月賞か日本ダービーのどちらかが2着に負けていたら、3冠に囚われることなく3歳で凱旋門賞に挑戦した可能性が僅かながらあったかもしれません。昨年に3歳で挑戦したヴィクトワールピサもダービーが2着だからこそできたのだと思います。もしダービーを勝って2冠馬になっていたら菊花賞は出ざるを得なかったでしょう。
私は日本の芝チャンピオンは凱旋門賞よりももっとBCクラシックの方に挑戦してもいいと思います、ドバイWCのように。(古馬混合戦で)どのレースが世界一?と言うのは非常に難しい問いですが、私は敢えて答えるならBCクラシックだと思います。アメリカだからダートのレース、とは言えその勝ち馬、好走馬達は種牡馬として、凱旋門賞馬よりもずっと日本の芝のスピードに適応しているように見えます。今年のドバイWCのようにオールウェザーで行われるなら尚更です。
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