2010/07/19

9割がサンデーの血を持つ社台の生産

先日のセレクトセールをウォッチして「やっぱり世の中不景気だな~」という月次な感想ももちろんありました。それの他に、上場馬の血統を見ていってものすごく今更ですが、父がサンデーサイレンス系の種牡馬が非常に多いのが目につきました。母父サンデーのアドマイヤムーンを含めて全体の7割は超えていそうです。そして驚くのが父が非サンデーのクロフネ、キングカメハメハやシンボリクリスエスの馬のほとんどは母父がサンデーかサンデーの子になっていること。つまり上場馬全体で約9割はサンデーの血を持っている状態!ここ数年、社台サンデーの募集馬一覧とか見ていてサンデーばっかりだな~と思っていたのですが、改めてじっくり見てみるとやっぱり多かった!セレクトセールには社台グループ以外の生産馬ももちろんいるのですが、それを含めサンデーの血が多いのだからサンデーの血が業界でブランドなのはまだまだ変わらないのでしょう。しかし、私はむしろこの状況だと逆にサンデーの血を持たない方が逆ブランドで希少になると思うのですが、特に牝馬は。

そこで社台グループ生産の現1歳世代(09産)でサンデーの血を持つ馬の割合を真面目に調べてみました。ビッグレッド(コスモビューを含む)は比較のためのおまけ。

________    父方       母方      持たない    合計
社台ファーム     199(55.4%) 129(35.9%)  31(8.6%)   359
ノーザンファーム    206(57.8%) 123(34.6%)  27(7.6%)   356
白老ファーム      80(54.1%)   41(27.7%)  27(18.2%)  148
ビッグレッド       21(20.6%)  17(16.7%)   64(62.7%)  102

父方 ・・・ 父がサンデーの子である馬(ディープインパクトやアグネスタキオン)と母父サンデーのアドマイヤムーンである馬。なお父アドマイヤムーンで母方にサンデーのクロスが生じる馬がいるが、それはこちらでカウント
母方 ・・・ ほとんどが母父サンデーかサンデーの子、または母母父サンデー。2頭ほど母母父フジキセキを見かけた。

全部で850頭ほどいましたが、ほとんどがサンデーの血を持つことが一目で分かるので意外と?調査は楽でした。セレクトセールで受けた印象の通り、父方と母方のどちらかにサンデーを含む馬は9割を超えています。白老ファームは多少はマシですがそれでも8割超え。単なるサンデーサイレンス一頭だけならここまでの数字にはなることはないですが、社台がサンデー2世の有力種牡馬を放出せずに全て自分の所で抱え込んだ必然の結果と言えます。自分の感想を素直に言えばこの数字は血統飽和の末期症状にも見えます。本当に社台の生産、ひいてはそれが率いている日本の馬産は大丈夫なのか、と。

しかし社台もこういう数字になることは予測して種牡馬や繁殖の抱え込みをやっているはずです。恐らくサンデーサイレンスの血と心中する覚悟を決めているのではないでしょうか。もちろん社台は種牡馬もチチカステナンゴなど新しいものを導入してくるし、繁殖も毎年10頭単位で海外から購入して血の入れ替えを行っています。それにしても頭を捻らざるをえないのは、せっかく導入した新鮮な繁殖のほとんどにことごとくサンデー系の種牡馬を付けてしまって、次世代の非サンデーの繁殖のことを考えているとはあまり思えないことです。一応1割に満たないがサンデーを含まない配合も行っていますが、次世代用はこれで十分と考えているのでしょうか。これからもどんどん海外から繁殖を導入するから問題ないのでしょうか?

常に新しい血を外から導入し続けることは常に勝ち続けて資金が潤沢にないと出来ない手法です。しかし、もし導入した種牡馬が数頭連続でコケたり、日本経済がさらに悪化してインカムがさらに減ったときに同じことを続けられるでしょうか。競馬の歴史において優秀な血を放出できずに抱え込み結果衰退した大牧場はいくらでもあります。社台が同じ道を歩んでも、うまくこのサンデー飽和の状況を乗り越えたとしても、どちらでも興味があります。15年後くらいにどうなっているのか楽しみです。

ビッグレッドもペンタイアやロージズインメイを自家繁殖に大量に付けるなど非常にバランスの悪いことを行なってきたのですが、結果的にそれらは成功するこ とがなく、また導入したサンデー血統もそれほど走らなかったために、牧場内の繁殖は特定の血統に偏ることはなくバランスの良い構成になっていると思います。あくまで結果オーライですが。次のコンデュイットはどうなるでしょうか?

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