パツィエンザの09はラフィアン09産世代の中で牝系の良さではトップの馬かもしれません。祖母ParkAppealは英・愛2歳牝馬チャンピオン、叔父に種牡馬のCapeCross、従兄弟にディクタットを始めとして近親に重賞勝馬が多数。曽祖母のBalidaressからのBalidaress系は歴史的名牝PrettyPollyを祖先に持つ欧州名門牝系で、欧州のスプリント~マイル路線で多くの活躍馬を輩出しているそうです。ゴドルフィンが力を入れて買い集めこの牝系の多くがゴドルフィンの所有となっています。(参考 ゴドルフィンの強さの秘密に迫る その2 ~ゴドルフィンとBalidaress系~)
母パツィエンザは未出走も、上記の2歳チャンピオンであるParkAppealと、欧州の2歳チャンピオンにして年度代表馬、さらにBCジュベナイルをも勝ってアメリカの2歳チャンピオンでもある史上最強の2歳チャンピオンとも言われるアラジとの子です。アラジは競走成績もさることながら、近親にイーグルカフェ、ダンスインザダークの一族、そしてラフィアンではお馴染みのヴリルなどがいる筋の通った血統。アラジは日本でも共用されましたが、その競争成績から期待されるほどの種牡馬としての活躍はできていませんでした。しかしG1を5勝のコンガリー、母父としてドバイWCを勝ったエレクトロキューショニストを出すなど最近は汚名を払拭しつつあるようです。
父ザールも2歳時に英と仏のG1を勝った欧州2歳チャンピオンです。2歳チャンピオンですが古馬になってもG1勝ちこそありませんが中距離路線で強敵相手に善戦し続けました。その母Monroeの代からでもザールを含め、重賞勝馬や種牡馬を多数輩出しているこれまた超名門の牝系です。その超良血な母と2歳チャンピオンであり2000ギニーを勝ったザフォニックとの子がザールです。2000年より種牡馬になり、重賞勝ち馬は多数輩出していますがまだG1馬は出ていません。
このようにパツィエンザの09は、祖母ParkAppeal、母父アラジ、父ザールと、全て良血の塊とも言える血統であり、全てスピード豊かな2歳チャンピオンから構成される非常に筋の通った魅力的な血統と言えます。(ついでに父、母父が種牡馬として大成功はしていないところも共通・・・)
そんな超良血な本馬であり、母のパツィエンザですが、これまで本馬の前に7頭の仔がおり、最初の牝馬は仏で2勝したようですが後の6頭は全て日本での生産されましたが中央での勝ち馬は一頭も出すことが出来ていません。
パツィエンザPazienza[愛](牝 1996 アラジ)
|--Pazzazz(牝 2001 GreenDesert) 仏2勝
|--パークウェイ(牝 2002 Pennekamp) サンデーRで1200万で募集 7戦0勝
|--パツィエンザの2003(牝 2003 ダンスインザダーク) タタソールズディセンバーセールに上場され26,000ギニー(約610万円)で落札されるも未出走?
|--ピツィカート(牡 2004 黒鹿毛 マリエンバード) 地方34戦0勝
|--ハヤテスプリンター(牡 2005 栗毛 ムーンバラッド) HBAオータムセールで600万で落札 未出走
|--タイキブルジュ(牝 2006 ワイルドラッシュ) セレクションセールで1000万で落札、大樹RCで1600万で募集されるも骨折で未出走引退
|--セイユウナイト(牡 2007 アルカセット)地方で6戦1勝
|--パツィエンザの2009(牝 2009 ザール) 本馬を受胎した状態でビッグレッドがジェイエス繁殖馬セールで220万で落札
|--パツィエンザの2010(牝 2010 ステイゴールド)
|--パツィエンザの2011(2011 ディープインパクト 出産予定)
ご覧の通り、一口クラブでの募集馬2頭含め中央では全て未出走、または未勝利。この繁殖成績ゆえにダーレー・ジャパンに放出され、ビッグレッドがわずか220万で落札しました。本馬パツィエンザの09はそのセリの時にお腹の中にいた仔になります。ちょうどダーレーで日本に導入したばかりのザールがつけられました。
この兄弟の成績の悪さゆえに、私も出資馬の検討時に躊躇したのは事実です。ですが本馬を実際に見て出資に踏み切りました。もしこの牝系で兄弟の1頭でもOP馬が出ていたり、2,3頭でも勝ち馬が出ていたら、恐らくは放出されることはなかったでしょう。例え放出されていても私がラフィアンで一口10万円で出資できるようなことはなかったはずです。逆に考えればこんな兄弟の成績だったからこそ、私が世界的な良血にお手軽に出資できる状態になったとも言えます。それにこのパツィエンザに今年ビッグレッドはディープインパクトをつけました。安価で落札した繁殖とは言え社長はこの牝系に期待を持っているのです。まだブレイクする可能性はあると思っているからこその種ディープインパクトです。
私は母パツィエンザに父ザールは相性が良さそうに思います。父、母父、母系が超良血のスピード血統で統一されるからです。もちろん早熟だけどそのまま2歳でそのまま終わるとも思っていません。この兄弟の成績と安価な値段だけに確実性は高くはないかもしれませんが、本馬にはぜひ勝ちあがってビッグレッドに繁殖として戻ってきてその血統を残してほしいです。
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